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今更の「馬具埋納抗発見に関する資料」

今更と思ったのですが現在も新しい出土品が出ているらしいので、先日古賀市教育委員会が記者発表の時の資料を掲載します。

馬具埋納抗発見に関する資料

遺跡の概要
遺 跡 名:谷山北地区遺跡群
所 在 地:古賀市谷山1166-1他
調 査 面 積:2,300㎡
調 査 原 因:県営圃場整備事業(経営体育成基盤整備事業小野南部地区)

馬具埋納抗の概要
時   代:古墳時代後期(6世紀末から7世紀初めごろ)
規   模:長さ 5,2m、幅 0,8m、深さ 0,7m(推定)

出 土 品(代表的なもののみ)
埋納抗北側
・壺鐙(つぼあぶみ):鉄製(2点一組)
・鞍  (くら)  :前輪・後輪(まえわ・しずわ)一組 覆輪(ふくりん)は金銅張
・面 繋(おもがい):金銅製イモガイ使用辻金具 4~5点 金銅製轡引手(くつわひって)
埋納抗中央付近
・鞍  (くら)  :木製鞍の前輪の可能性あり
・不明鉄製品    :鉄板状で馬冑(ばちゅう)の可能性あり
・不明鉄製品    :小札状(こざねじょう)で馬甲(ばこう)か桂甲(けいこう)の可能性あり
埋納抗南側
・鞍  (くら)  :木製鞍の後輪の可能性あり(中央付近の木製鞍前輪と一組か?)
・尻 繋(しりがい):金銅製辻金具  金銅製雲珠(こんどうせいうず)
金銅鈴(こんどうれい)複数あり  鉄製輪鐙(てつせいわあぶみ)    金銅装心葉形杏葉(こんどうそうしんようけいぎょうよう)

その他
埋納抗の北側や中央付近で黒色漆膜状品が出土(形状等不明)
上記以外にも不明鉄製品多数あり

成果の概要
・現在古賀市が行っている谷山地区の発掘調査で、多数の馬具を埋納した土抗が見つかった。
・馬具は各種類が揃っており、金銅製品や漆膜状品も見られるなど総じて価値が高い物が多い。
・埋納当時の様相がわかる状態で出土しており、貴重な発見である。
・今回見つかった埋納抗に隣接して船原古墳があり、この古墳に関連する性格の物と思われる。
・古墳の時期は7世紀初頭頃とされており、当時の葬送儀礼を知る上でも大変重要な発見である。

詳細説明
・出土品は、形状が明らかな物はすべて馬具である。
・壺鐙は全国で40例ほどの出土例が知られるが、これらと比較しても大型で特異な事例でありその保有者の地位の高さが窺われる。
・辻金具と雲珠は朝鮮半島新羅で盛行し、我国でも八女市で出土例のあるイモガイ殻頂部を切断しはめ込んだ物と見られる。
・金銅製轡引手は朝鮮半島の新羅に関連する馬具に見られ、国宝の奈良県藤ノ木古墳や、同じく国宝の福津市宮地嶽古墳をはじめ、他に4例ほどが知られているにすぎない。この引き手に付属するであろう鏡板は現時点では不明だが、金銅製引手の存在だけでも価値の高さが窺われる資料である。
・埋納抗中央付近にある不明鉄製品は、馬冑ではないかと思われる。日本では現在、和歌山県大谷古墳(5世紀末)、埼玉県埼玉将軍山古墳(6世紀後半~末)で出土例があるだけである。
・馬甲は先の和歌山県大谷古墳、滋賀県野洲町甲山古墳(6世紀中葉~後半)他数例の出土例があるだけである。
・こうした出土品は、個々の歴史的価値が非常に高いだけでなく、これらがセットとして出土している事、また、埋納時の様相が復元できる良好な状態で出土した事は、きわめて重要性が高い発見である。
・一般的に、武器や武具、馬具などの副葬品は古墳の石室の内部に置かれるが、今回のように古墳の外側に馬具や鉄鏃などを埋納した例は、少なくとも当時の我国では確認されていない。非常に希少性が高く、当時の葬送儀礼を知る上でも大変重要な発見である。
・今後の予定としては、空気や湿気、直射日光、による遺物の劣化が懸念される為、応急措置を施しているが、現地での調査完了後、直ちに遺物の取り上げ作業を行う予定である。取り上げに際しては学識経験者の指導助言をもとに、九州国立博物館や九州歴史資料館の支援を得て作業を進める予定である。
取り上げ後、九州歴史資料館にて遺物のクリーニング作業等を行う。また、現地では取り上げ後の補足調査等を行う予定である。

用語解説
埋納:保存や保管等の目的で、品物を穴の中へ納めて埋める事。
馬具:乗馬のために用いる用具全般を指す言葉。
・馬を操るための轡(くつわ)・人が乗る鞍・足を乗せる鐙(あぶみ)これらを取り付けるための装具(紐、帯、金具類)と雲珠(うず)、杏葉(ぎょうよう)などの装飾品からなる。
繋(がい):馬具を馬に装着するための革帯や金具類の総称。装着する馬の部分によって、頭部の面繋(おもがい)、胸部の胸繋(むながい)、下半身の尻繋(しりがい)などと呼び分ける。
鐙:騎乗者の足掛けとする乗馬補助具。
鞍:騎乗者の座席。前後に鞍橋(くらぼね)といわれる半円の部品を取り付けるが、前部を前輪(まえわ)、後部を後輪(しずわ)と呼ぶ。
鏡板:轡の部品。両端に取り付け、手綱を取り付ける金具。装飾性が高い。
轡:馬にかませる棒状の物で、鏡板の両端に手綱を取り付ける。馬をコントロールする為の最も重要な馬具。
辻金具:馬具を馬に連結する紐や皮帯の交差する位置に取り付ける飾り金具。半球状で、皮帯を取り付ける脚部が外側の四方に付く。
雲珠:馬の背中を飾る金具。皮帯が交差する位置に取り付ける。形状は辻金具に近いが、脚部は5以上取り付けられる。
杏葉:馬具に下げる装飾品。心葉(ハート)形、剣菱形等様々な形状がある。
馬甲:馬の胴体を保護する為の鎧。鉄製の板を綴り合わせて製作する。
馬冑:馬の胴体を保護する為の兜。
桂甲:古代の鎧の一種。小型の鉄板を紐や革でつづり合わせて製作する。

参考:「最新日本考古学用語辞典」大塚初重・戸沢充則 編

※新しく発掘された出土品は、時を見計らって市の方から発表があると思いますが、最終的に発掘が終わるのは5年先か?10年かかるのか?。
(いずれにしろ、先は長いと思われます。)

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